子どもの問題行動は
「わざとしている」のか、
それとも
「発達障害の特性のために起こる」のか
を見極めることがとても大切です。
我が家の発達障害児の問題行動は
ある日、唐突に始まりました。
彼がハマった行動は「壁蹴り」。
それは想像以上の爆音でした。
両隣のおうちへ「ご迷惑をおかけしてすみません」と頭を下げに行き、
旦那には「近所迷惑だから壁蹴ってたらちゃんと止めろ」と言われ悲しくなる日々。
一日中、朝昼晩、壁蹴りがあるので一日中雨戸をしめて防音。
部屋の中も、私の心も、真っ暗でした。
そんなとき「問題行動」と「注目行動」を知り、
家族で取り組んだところ、
なんと!
あんなにしつこかった壁蹴りが
軽減したので文章にまとめました。
この記事では「問題行動」と「注目行動」、
その対処法をお伝えします。
特性のために自分ではどうしようもないことを
「わざとしている」
わざとしているのに
「特性だから…」と判断してしまうと
いつまでも行動を正すことが出来ません。
「成長を待っていればそのうち止める」
「特性だし今すぐに止めるのは難しい」
そう思っているあなたはハッキリ言って、
いつまでたっても困らされる日々です。
これ、過去の私に言っています…。
「わざとしている」問題行動
わざとお茶をこぼす。
お友達を叩く。
ズボン、パンツを脱ぐ。
テーブルに乗ってドンドンと足で大きな音を立てる。
など、目の前で「問題行動」に出くわしたとき、
どのように対処すればいいのかと考えてしまいますよね。
もし「問題行動」と「注目行動」を知らずに
「ダメでしょう!」「ちゃんとして!」と声をかけてしまうと、
「んふふっ」と笑って1秒後に繰り返される可能性は大です。
我が家がそうでした。
うちの長男の壁蹴りに、2年悩まされました。
この記事には「過去の私が知りたかったこと」を詰め込んでいます。
この記事を読めば
どうしてこんなことするの?
どう言えば分かるの?
どう関わればいいの? が分かります。
良好なご近所付き合いを築き、
家でストレスなく過ごす時間をゲットできますよ。
誤った判断
うちの長男は2歳のころ、注意欠如多動症(ADHD)、
自閉スペクトラム症(ASD)、知的障害と診断されました。
1歳を過ぎたころから多動が目立ち始め、
外出中、手をつないでいても振り払って走り出してしまったり、
高いところからジャンプをしたり、目が離せない毎日。
そのころから、「壁蹴り」が始まりました。
床に寝転んで、両足で壁やドアを蹴るんです。
その音は25m先の通りまで響いていました。
とても楽しそうに壁蹴りをする息子を見て
私たち家族が考えたのは
「足の裏に感じる振動、大きな音を出すのが好きなのでは?」ということ。
決して「わざと」ではなく、
「特性ゆえに、その感覚を楽しんでいるんだ」と。
大きな間違いでした。
真の目的は「ボクを見て!」
周囲の人から注目されたい、という欲求からの行為でした。
ラビット発達臨床研究所の平岩幹男先生は
「保育園で取り組めるライフスキルトレーニング」の中で
「注意惹き対策」としてこのように言っています。
注意惹き対策
・物を投げる、つばを吐く寝転んでごろごろ
→基本的には無視するが、多くはすることがないときに起きる
・注意して止めようとすることは
→注意を惹いたので結果として強化になる
・事務的に「しません」「○○します」と切り替える
→すぐほかの行動を指示して切り替えることも
・自傷、他害がある場合にはタイムアウトも
「保育園で取り組めるライフスキルトレーニング」」
※タイムアウト…かんしゃくを起こしたときに刺激の少ない静かな場所へ行き、落ち着くまで待つ方法
2番目にあるように、
周りから「注意される」「叱られる」というアクションを受けても
息子の「ボクを見て!」という目標を達成してしまうんです。
息子の壁蹴りの威力はすさまじく、
このままでは騒音トラブルになる…と気が気ではありませんでした。
「やめようね」「ドンドンしないよ」「いい加減にしなさい!!」
と注意しますが、この対応がマズかった…。
「なるほどね。壁を蹴ればママやパパが来る。もう一回やろう!」
「わあ、やっぱり来たぞ。もっと大きい音を出してみよう」
が息子の中で確立してしまい、
どんどんとエスカレートしていきました。
この誤った対応が、
我が家の年単位の悲劇を生むことに。
正しい対応は…「無視」だった
「注目行動」への対応は、以下のように進めていきます。
①問題行動を起こす理由に「気付く」
保育園でモニター越しに息子を見る機会がありました。
「注目して欲しい!壁を蹴って気を惹こう!!」
「(保育園の教室で)みんな何やってるの?分からない!ボクは壁蹴っとく!」
「やることなくて暇!とりあえず壁蹴っとけばいいか!」
これらの行動を見ると「ボクを見て!」という訴えなのだと気付きました。
②好ましくない行為には注目せずに優しい無視をする
危険な行為は淡々と叱る
壁を蹴る行為を無視するのは大変でした。
なにせ25m先まで聞こえるんですから…
保育園、児童発達支援事業所にも協力をしてもらい、
優しい無視をしました。
③「壁を蹴っても来てくれない…」と考えている子どもに
「その子がやったら出来る」活動を「すすめる」
息子はパズルが得意で集中して取り組めます。
肩をトントンと叩き、呼び掛けてふっとこちらに意識が向いたときに提供します。
④どんなに小さいことでも「出来た!」を見付けて「褒める」
パズルは完成してからでなく、1ピースはめたら拍手。
ブロックを積み上げたら拍手。
とにかく息子と同じ場所にいて、
応援団(注目する)になっていました。
壁蹴りを始めても他の「出来た!」が分かるおもちゃを渡すと
そちらへ意識が向くようになり壁蹴りは少なくなりました。
結論「真意を知るべし」
これらはあくまでも「わざとしている問題行動」に対して、
我が家で行った対処方法です。
注意欠如多動症、自閉スペクトラム症、知的障害を持つ息子。
彼の「特性ゆえの問題行動」は、なかなかなくなることはありません。
ただ、我が家のように「特性からやめるのが難しい壁蹴り」なのか
「注目されたいからわざとやる壁蹴り」なのか見誤ると、
問題行動はエスカレートしてしまいます。
今回は「わざとしている問題行動」についてお伝えしました。
困っているママさんパパさん、
まずは「真の目的」を探るところから始めてみてくださいね。
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